乳がん検診Q&&A

乳がん検診Q&A

乳がん検診についてよくある質問を「高木ひろみ乳腺レディースクリニック」院長髙木博美先生にうかがいました。

「高木ひろみ乳腺レディースクリニック」髙木博美院長
日本外科学会認定医・日本乳癌外科学会認定医・マンモグラフィ読影認定医。大牟田市生まれ。昭和60年、久留米大学病院第1外科入局。平成6年、医学博士号を取得。平成11年、”女性のための心と身体の医療室“をコンセプトとして、福岡市に、乳腺専門のクリニック「高木ひろみ乳腺レディースクリニック」を開院。「乳がんからおっぱいを守る乳腺外来」執筆。

【監修】高木ひろみ乳腺レディースクリニック

受診について

検診にあたりマンモグラフィ(乳房X線撮影)とエコー(超音波検査)を同時期に一緒に受けたほうがよいのでしょうか?

現在乳がん検診では、マンモグラフィ検査と視触診の両方で行うよう推奨されています。超音波検査は、現在有効性を検証するための臨床試験が行われているため、まだ検診としては推奨されていません。しかし、若い女性、妊娠・授乳中の女性にはエコー検査の方が有効です。マンモグラフィにしか写らない乳がん、エコーにしか写らない乳がんがあります。マンモグラフィとエコーが同時に受けれる検診が理想です。

どのくらいの頻度で受診したらいいですか?

マンモグラフィとエコーの同時併用検診であれば、1年に一度、最低でも2年に一度は受けて、乳がんへの不安をとり除きましょう。
早期発見によって、乳がんは完治することができます。

妊娠中でも受診できますか?

妊娠中、授乳中も乳がんにならないとは限りません。エコーで検診ができます。豊胸手術を受けられた方やペースメーカーが入ってる方も、検診ではエコー検査となります。

豊胸手術を受けたのですが、シリコンが入っているとマンモグラフィで撮影できないと聞きました。検診はどうしたらよいですか?

シリコンでの豊胸手術後、マンモグラフィの撮影が全くできないわけではありません。しかし、よい条件で撮影するための体位や圧迫が不十分になる可能性があります。そのため、検診としてはまずエコー検査を受けて、必要があれば、マンモグラフィが実施できる専門医療機関で受けて下さい。

乳がん検診は、生理中は避けたほうがよいですか?

月経前は女性ホルモンの影響で乳腺への血流が増し、乳腺組織も増殖傾向にあるので、触診では全体に乳腺が腫れているように感じられます。また、この時期は乳房が張って、マンモグラフィの検査も苦痛に感じられるでしょう。月経後の方が、マンモグラフィ、超音波検査、精密検査のMRI画像もわかりやすいのでおすすめです。子宮がん検診ではないので、月経中でも乳房が張っていなければ問題ありません。

乳がん検診の内容について

検査に痛みはありますか?

マンモグラフィ検査では乳房を挟むときに痛みを感じることがありますが、圧迫時間はわずか数十秒です。できるだけ乳房を圧迫して薄くすることで放射線被爆量も少なくてすみますし、微細な病変(石灰化など)を鮮明に写しだすことができます。
エコー検診では、痛みは全くありませんし、放射線被爆もありません。

乳がん検診はどんな内容なのですか?

検診は、マンモグラフィ(乳房X線撮影装置)とエコー(超音波診断装置)の2種類の検査を行います。マンモグラフィでは、超早期の乳がんのサインである“微細石灰化”を、エコーや触診では発見できないような”しこり”を検査し、診断します。

放射線の影響が気になりますが大丈夫ですか?

マンモグラフィの被曝は、乳房だけの部分的なものですから、骨髄などへの影響はありません。1回の撮影で受ける放射線量は、東京⇔ニューヨーク往復の飛行機で浴びる自然放射線とほぼ同じです。

乳がんについて

しこりのない乳がんというのもあるのでしょうか?

しこりのない乳がんもあります。明らかな腫瘤(しこり)を形成せずに乳管内に進展する非浸潤がん(DCIS)は、マンモグラフィ検査で微小石灰化がみつかるのみでしこりがありません。また、乳がんの特殊なタイプであるパジェット病でも、乳頭のかゆみ、びらん、浸出液が主な症状でしこりがありません。
しこりのある乳がんも、しこりとして触れることができずわかりにくいものがあります。深いところにできたり、大きさが1cm以下の浸潤がんなどは、視触診だけの検診や自己検診だけではわかりません。手に触れないくらい小さく、わかりにくい乳がんがあるからこそ、マンモグラフィとエコーの検診が必要なのです。

2年前のエコー検診で、のう胞があると診断されました。今後の検診ではマンモグラフィとエコー検査のどちらを受けた方が良いのでしょうか?

のう胞は、中に液が溜まって袋状になり大きくなった良性の腫瘍です。しこりは、形状などで良性(のう胞、線維腺腫など)か悪性(乳がん、葉状肉腫など)かの判断をしますが、マンモグラフィよりエコー検査のほうがのう胞自体の変化はとらえやすいと考えられます。のう胞は、乳腺症と診断され経過観察していきますが、変化します。消失することがほとんどですが、悪性変化したり、他の部位に乳がんが発生することがあります。乳がんにかかりやすいリスク因子のなかに、良性乳腺疾患の既往があります。今後は検診(自費)ではなく、専門医のいるマンモグラフィとエコー検査併用による定期的な診療検診(保険診療)が必要です。

しこりがあると検診で言われて、その後マンモグラフィとエコー検査を受けました。それだけで、良性か悪性かわかるのでしょうか?

マンモグラフィとエコー検査だけで、良性か悪性かを診断することはありません。精密検査として細胞診、乳房MRIなどを行い、最終的な良性か悪性かの診断は、組織を採取した病理検査(針生検、摘出生検)で行います。

子供でも乳がんになることがありますか?

日本乳癌学会の報告では、日本の最年少は16歳で乳がんを発症した女性がいます。欧米の報告では11歳が最年少です。 乳腺が発育し、初潮を迎えた人であれば、乳がんにかかる可能性はゼロではありませんが、10代前半の小・中学生では、しこりがあっても、成長期の乳腺の発達過程であって、乳がんであることは極めてまれと考えられます。気になる症状があれば乳腺専門医に受診することをおすすめします。

乳がんに痛みはありますか?

頻度は少ないのですが、炎症性乳がんでは乳房全体が赤く腫れ、熱感と痛みを伴うことがあります。しかしほとんどの場合、乳がん自体の症状として痛みはありません。乳がんが進行してかなり大きな腫瘍になっても、痛みを感じないことがほとんどです。ただし、乳がんが見つかった方々の中には、他の原因(月経周期、筋肉痛など)による痛みがあって、乳がんが心配になり病院を受診され、偶然乳がんがみつかった方もいます。

閉経前の若い人の乳がんと、閉経後の乳がんに違いがありますか?

一般的に35歳よりも若い年齢で発症した乳がんを『若年性乳がん』と呼んでいます。かつては若年性では乳がんの進行が早いと言われていましたが、乳がんの進行と年齢は直接関係しないとの報告が出て来ています。
世界的な乳がん専門医の集まり(ザンクトガレン乳がん国際会議)での合意事項として、以前は年齢35歳未満は再発リスク因子のひとつとされていましたが、2009年の会議では、再発リスク因子から年齢が削除されました。最近では年齢を特別な要素とせずに、生物学的腫瘍特性(HER2、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR))から有効と考えられる治療(化学療法やホルモン療法)を選択することが重要とされています。

乳がんは、手術をしなくても治りますか?手術をしなかった場合どうなりますか?

乳がんの治療法には、局所療法と全身療法があります。局所療法とは、治療目標の病巣だけに効果が期待できる治療法のことで、手術による病巣の切除や放射線の照射療法などがあります。全身療法とは、注射・点滴・経口で投与された薬剤を、血流によって全身に作用させる治療法のことで、抗がん剤による化学療法や内分泌療法などが含まれます。乳がんの進行・転移を阻止するためには、局所療法と全身療法を組み合わせることが有効とされています。外科的に手術でがん病巣を完全に切除し、そのあと放射線科的な放射線治療や、腫瘍内科的な全身療法を併用する方法が行われます。現時点では、“手術をしないで治すことができる“という根拠はありません。手術をしなかった場合、局所で進行すると腫瘍が大きくなり、皮膚に浸潤し、カリフラワー状に皮膚に潰瘍ができて出血・感染を起こすことがあります。また乳房から肺・肝臓・骨・脳などに遠隔転移を起こし、それらが進行すると、全身状態が悪化し、呼吸困難・黄疸・骨折・麻痺や意識障害などの症状が出現し命に関わってきます。

乳がんと診断されて、仕事の都合ですぐに入院ができません。手術が遅くなると、がんが大きくなったり転移したりしますか?早い方がいいですか?

治療が遅くなった場合、その間、絶対にがんが大きくなったり転移したりすることはないとは言えません。一般的には、乳がんは数年以上かけてゆっくり大きくなるため、数週間で急に進行することはないと言われています。早期の、転移していない乳がんであれば、数週間くらいで転移することはほとんどないと考えられます。

乳房を切除するか温存するかを自分で決めるようにと主治医から言われました。患者が選択できますか?していいのでしょうか?

乳房温存療法を受けるためには、大きさ(しこりの大きさが3cm以下)などの条件があります。
一般的に、乳房温存療法が難しい条件として、2 つ以上の腫瘍が同じ乳房の離れた場所にある場合。乳がんが広い範囲にわたって広がっている場合(微細石灰化でみつかった非浸潤がんなど)。手術後に温存した乳房への放射線治療が行えない場合(妊娠中。乳房や胸壁にすでに放射線治療を行ったことがある。放射線治療のための体位をとれない。膠原病などを合併しているなど)。しこりの大きさと乳房の大きさとのバランスで、美容上の仕上がりが良くないことが予想される場合。そして患者さんが希望しない場合です。乳房を切除するか、温存するかは、患者さん一人ひとりの状況に応じて、患者さんの希望を考慮しながら、主治医とよく相談して、納得のできる手術法を選択することをお勧めします。

ダチョウ力サイトはこちら
このページのトップへ